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Sketch Note

jorisketch.exblog.jp

ちょっとした苦言

何年か前、デザインの学校の非常勤講師をしました。

そのときはしんどくて、
一年目にもうやめてやる、と思ったもんですが
生徒たちの絵の個性とかわかってくるとけっこう楽しくて
2年目からはかなり自分でも楽しんでいました。
生徒たちが少しずつでも上手になって行くのが嬉しかったし
この中の何人かはいつか私の仕事のライバルになるかも?と想像して、
この子は怖くないな、とかこの子は出てきたら怖いなとか、
そう言う先行きも見るのが楽しみでした。

いかんせん、その学校は経営難で閉鎖になり
私の短かった講師生活も終わった訳ですが
またいつかああいう、学生に絵を教えたり指導したりできる
機会があればやってみたいなと思いますね。


さて、何年か講師してる間にどれだけかの生徒を持った訳ですが
いまだに業界で出会いません。
ということは就職する段になって、他業種に行った子も多いということですかね…
残念です。
すごくうまかった子も、いいものを持ってた子もいたのに。
今消息を知ってる生徒は数えるほどしかいないし、
その中でこの業界にいるものはいません…

毎年年賀状をくれる元生徒がいます。
彼は正直うまい方ではなく
提出された課題も、ちょっとこれは…受け取れないんじゃないか??
と思うことも多々あった生徒でした。
ちょっとだけ障害があるとかで普段は全然わかりませんが
注意をしたことは、何度も何度も繰り返さないと理解できなかったみたいで、
何度も何度も手直しをさせた覚えがあります。
コンピュータを使っての着彩になるとバケツ塗りしかできなくて、
どう教えたらいいのか、本当に頭を抱えたときもありました。

今年の年賀状は、デジタルでしたが
線も整理され、簡潔でかわいらしい絵柄になってました。
これは感心しました。
あれほどデジタルを嫌っていた彼でしたが
ちゃんと少しずつ少しずつ進歩してます。
年賀状のお返事には
「すごく上手になったね!」と心からほめ言葉を書きました。
着実に教えられたことを反芻して
人より遅いけど理解して身につけてゆく。
彼にはそう言う向上心があるのですね。
ほんの少しでも成長が見られるのが嬉しいです。
彼は絵がとても好きみたいですから
きっともっとうまくなって行くことでしょう。


反対にがっかりするときもあります。
何度も何度も注意したのに
何度も何度もアドバイスもしたのに
まったくもって身に付いてない。
この子はいったい何を聞いていたのかと
その子の絵を見るたびに思う。

絵が好きで、描かずにいられない。
先の彼もそうだった。
ふたりの違いは片方はものすごくへたくそからのスタート
もう片方はもともとけっこう上手からスタートってこと。
もちろん絵の傾向も違うので比べることは間違ってるが
方や牛歩のごとくではあるけれど、えらい進歩を見せているのと
方や小手先ばかり上手になって、根本的、基本的なところはむしろ退化してるのと。

自分ひとりで悦に入るなら止めないけれど
人に見せて感想を求めるなら
なぜ人のアドバイスを聞こうとしないのか。
自分に厳しくしないと、自分の欠点は見えて来ないんだよ。

時間を経るに連れ、進歩どころか
後退してるってどうなんだと。
絵を見るたびに思うのだ。

それも、もう一度見返せば、
よく見れば、おかしいとわかる絵なのに
なぜ見ようとしないのか。
めんどくさがらずになぜ、何度も見返すことをしないのか、
修正することをしないのか。

なまじ少し描けることでほめられて
いい気になってるとしか思えない。
だって本当に、ほんの少し見返すだけで気づくであろう不自然さが、
そのままの状態で仕上げてあるんだもん…
なぜ気づかない?

見るたびに思う感想は「痛い」
しっかりしろよ、という想い。

自分をさすが!と思うこと。もちろん私にだってある。
そう言う自信がなければやってられないってこともある。

がしかし、必ず一歩下がってみるのだ。どこかおかしいとこはないか。
どこか納得できないところはないか。
だってその絵は人に見せる絵であって、自分だけの楽しんでる落書きではないのだ。
子どもが毎日楽しんでる落書きならそれでもいいんですけどね。

君が目指してるのがそんなところじゃないのなら、
ほんとに、しっかりしろよ、と思う。
Commented by 表供美 at 2010-01-25 17:54 x
厳しいお言葉で、まるで、私に言われているようで。
何年やってても、自分で下手だなあ。と思っている。だから、もっと、上手くなりたい。と思って、いろいろな事をやったし、やっている。
ある時、東京の作家さんに言ったんだ。「上手くなりたい。」と。
そしたら、その作家は、「上手くならなくていいのよ〜。いままのままで素敵じゃない。」と。
こんなに下手なのに?デッサンくるってるし、自分では満足していない。

時々見かけるイラストで、えっ?こんな絵でも、仕事になるんだ〜。と思うようなものもある。
でも、それを必要としているクライアントも、現にいるのは、間違いない。
技術的なことより、やっぱり、感性?
上手くなる事って、どういう事なんだろう?
Commented by joribox at 2010-01-25 22:18
くみちゃんいらっしゃいませ
うーん、自戒の意味もあります。自分もずっと思ってるので。
必ず一歩引いてみることを忘れないように。
うまいヘタというのは確かに感性であって、それを認める人がいるならそれはそのままでいいのかもしれない。
そう言うのは難しいですね。個人的には自分のボーダーラインを上回るものが「上手い」ってことになるのかな。
自分の絵を愛せて、良し、と納得いくものが描ける。そうあり続けたいと思ってはいるのですが。
私も納得してません。まだまだだとずっと思ってる。一生修行だなあと思ってる。満足はしてません。
Commented by joribox at 2010-01-25 22:22
私が厳しいことを言うのは、ちゃんと描けるはずだからこそ、その程度で仕上げるなんてと思うのです。なんていうかできる力はあるはずなのに、やらずに片手間に描いてる。趣味なら別にいいんですが。
ほめてほめてといって公開してるのがまるわかり。学生の時からそうでした。もっとできるはずなのにそれをしない。けど「神」と褒めて欲しい。
誰もが見ておかしいと思うところをなぜ気づかないのかといつも思うんですよ。指摘されると怒るし。ほめられることにばかり執着して、注意やアドバイスは「批判」と受け取る。
ずっと描いてるのは知ってましたけど、初期見た頃からむしろ最近は退化してるのがほんとに痛い。早く気づいてくれよ、と思いながら数年経ちました。デジタル技術は上がってますが、基本的なとこがほんとに退化してます。
気づいて欲しいんですよ。
よけいなお世話ですが。
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by joribox | 2010-01-25 16:15 | Art | Comments(3)