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Sketch Note

jorisketch.exblog.jp

和田慎二さんの訃報

少女マンガ黄金期というのがあるらしい。

何度かあったらしいのですが、
有名な、今でも長く愛読者を得るマンガやマンガ家さんを輩出した時代です。

私の少女マンガとのおつきあいは
りぼんから始まって
ごくごく普通の恋愛が主のテーマである

片思いの女の子があこがれの男の子に
思いを伝えてハッピーエンドって形のものが主流でした。

絵画教室にも通ったことも無い私にしてみれば
甘酸っぱい思いでノートに画風を真似して描いていたので
この頃のいわゆる乙女チックなマンガを描いていたマンガ家さん
陸奥A子、佐藤真樹、田淵由美子、太刀掛秀子さんは
私の絵の原点でもあります。

少女マンガはそういう、
内気な女の子が大好きな男の子に…というのが定番でした。
この頃は完全に黄金期ですね。

だから別冊マーガレットで
和田慎二さんのマンガをはじめて読んだ時の衝撃は忘れません。

怖かった。
でも一気に読んでしまった。
サスペンスというものにはじめて触れたのも
案外和田慎二さんの作品からかもしれません。

怪物や蜘蛛や、耳まで裂けた悪女の表情。
男女間ではない親子の情や
友人との情や仲間意識を根底に流し、
憎悪、アクション、けして綺麗とかかわいいとは言えない登場人物たち
戦うことが前面に押し出され、自分で勝ち取る自分の、仲間たちの幸せ。
恐怖に立ち向かうことのスリル。
そして
その中につまる圧倒的な知識。
地質学、伝承の物語、宝石や地震、マザーグースに至るまで
その知識がヒントになって解き明かされる謎。
それまでの甘いだけの恋愛マンガをかすませてしまう、圧倒的なストーリー。

次の黄金期の幕開けでした。
それまでの恋愛が主流のマンガから
ストーリー性を重視したものがこの頃から多くでてきました。
はじめっから最後まで、恋の「こ」の字もでてこない。
でもとてもとても面白いマンガ。


思い返すに、いまだずっとマンガを愛読してる私ですが、
その頃から恋愛一辺倒のマンガが面白くなくなって、
よりストーリー性を求め、
少年マンガや青年マンガと呼ばれるものに手を出し始めていたような気がします。

和田慎二さんの描いたマンガであれば
いったん必ずコミックを買ってました。
最近のものもいまだに好きで、
永久保存版にしてもってるマンガもかなり多いです。

銀色の髪の亜理沙
愛と死の砂時計
呪われた孤島
大逃亡
恐怖の復活
我が友フランケンシュタイン
左の眼の悪霊
ピグマリオ
スケバン刑事
超少女明日香
クマさんの四季
怪盗アマリリス

懐かしいタイトルがどんどん浮かびます

星のはいった眼の大きな少女マンガの主人公ばかりの時代。
胸の大きい女性なんてでてこなかった時代に
ばいんと大きな胸、むっちりした腰の女性を描き
男女間もきれいごとでなくレイプも暴力も描いた。
それでも甘い部分もあり、コメディな部分もあり
一編を読み終わった読後感は半端無かったです。

………61歳。

現在もミステリーボニータで「傀儡師リン」を連載中でした。
画風がずっと変わらず、あれだけストーリー性と過激なアクションを取り入れながら
あくまで少女マンガ、としか言えない分野で活躍し続けてこられました。

本当に残念です。
悔しいほどに残念です。

もっと読みたかった。

ツィッターで訃報が流れてからずっと誤報であって欲しいと願いました。
残念です。

ご冥福をお祈りします。
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by joribox | 2011-07-07 02:30 | Talk | Comments(0)